地震対策で1番目に大切なこと あなたの家は新耐震基準ですか?

この記事のポイント

  • 1995年阪神・淡路大震災の死亡原因で一番多いのが「圧死」(77%)
  • 地震で死なないためには、まず倒壊して生き埋めにならない家に住むこと
  • 自分の家は大丈夫?チェックしてみよう
  • チェック方法(賃貸住宅の場合):賃貸契約時にもらう「重要事項説明書」を見よう
  • ↓ならひとまず安心です
    • 新耐震基準(1981(昭和56)年6月1日施行)により構造設計された建物
    • 新耐震基準ではなくても、耐震診断結果が「Is0.6以上」の建物
  • 知らずに不安な家に住んでいるなら、できるだけ早く引っ越しか耐震工事を

地震で一番怖いのが生き埋め

私は11歳の時に、阪神・淡路大震災にあいました。

私が住んでいた地域は震度6強というすさまじい揺れに襲われたんです。

幸運にも家はほぼ無傷で、家族・親戚・知人といった身近な人たちもみんな無事でした。

でも多くの家・マンションが倒壊し、多くの方々が生き埋めになり亡くなりました。

阪神・淡路大震災で最も多かった死亡原因は、建物の倒壊や家具の下敷きになっての「窒息・圧死」(77%)でした。

引用 :国土交通省近畿地方整備局 第1章 死者を減らすために

https://www.kkr.mlit.go.jp/plan/daishinsai/1.html

いま私は妻と小さな子ども2人を持つパパとして、家族を災害から守る大きな責任があると思っています。

かつて私の父や母がそうしてくれたように。

いちばん大事な地震対策 あなたはできていますか?

地震対策と聞くと、つい家具の転倒防止や高所への避難をイメージしがちではないでしょうか。

もちろんこれらはとても大切な対策です。

でも、もし家が倒壊して生き埋めになってしまったら、家具の転倒防止や津波から逃げるどころではありません。

まずいちばん大事な地震対策は、倒壊して生き埋めにならない家に住むことなんです。

家が安全かどうか見極めるポイント まず新耐震基準かどうか

耐震基準とは

日本では、建物が持つべき耐震能力を「耐震基準」として定めています。

これは住居用(戸建て、アパート、マンションなど)はもちろん、商業施設(店舗・ビルなど)やあらゆる建物が対象です。

建物は建てる前に、耐震基準をクリアしているか審査機関が設計をチェックします。

ここで許可をもらえないと建てることができません。

最初の耐震基準は1923年の関東大震災を教訓に定められました。

その後は大きな地震が起こるたびに厳しく改正されていきます。

耐震基準は1924年に初めて施行されてから、1950年(旧耐震基準)、1971年(旧耐震基準の一部を変更)、1981年(新耐震基準)、2000年と改正されていきました。

新耐震基準の特徴

その中でも大きく変わった(厳しくなった)のが、1981年6月1日に施行された「新耐震基準」です。

どう変わったかと言うと
旧耐震基準:中規模地震(震度5強程度)の地震でも倒壊しないこと
新耐震基準:大規模地震(震度6強~7程度)の地震でも倒壊しないこと

と変わりました。

つまり旧耐震基準だと震度6弱でも倒壊する恐れがあるんです。

2011年に起きた東日本大震災以降だけでも、 震度6弱以上の地震は全国各地でたくさん起きています。

(2016年熊本地震、2018年大阪府北部地震・北海道胆振東部地震、2019年山形県沖地震)

旧耐震基準と新耐震基準でどれだけ被害が違うのか

阪神・淡路大震災では、旧耐震基準と新耐震基準のマンションで被害にどれだけ差が出たのでしょうか。

東京カンテイという会社の調査によれば

大破(建て替えが必要なほど損傷がひどい)したマンションの割合は

旧耐震基準で3.3%(2177件のうち73件)
新耐震基準で0.3%(3084件のうち10件)

でした。特に1970年以前のマンションだと8.4%(366件のうち31件)と、大破する割合が大きく増加します。

引用元:(株)東京カンテイ 阪神・淡路大震災から五年 被災マンションの復興状況

https://www.kantei.ne.jp/report/disaster/215

また、建築震災調査委員会が調査した結果もご紹介します。これは住居用の建物(戸建て・アパート・マンション)に限らず商業用(店舗・ビルなど)・その他も含めた調査で、神戸市中央区の一部地域が対象ですが

1970年以前の建物では17%が倒壊、18%が大破

1970年~1980年の建物では5%が倒壊、7%が大破

1981年以降の建物では3%が倒壊、5%が大破

となっており、やはり旧耐震基準と新耐震基準で大きく被害の差が出ていることがわかります。

引用元: 建築震災調査委員会   平成7年 阪神・淡路大震災 建築震災調査委員会中間報告

http://www.lib.kobe-u.ac.jp/directory/eqb/book/11-43/index.html

写真の引用元:阪神・淡路大震災「1.17の記憶」

http://kobe117shinsai.jp/

自分が住む家は大丈夫? 耐震基準の確認方法

ではあなたが住んでいる家は大丈夫でしょうか?

賃貸している場合の確認方法をご紹介します。

賃貸契約時の書類「重要事項説明書」を見てみよう

賃貸契約をするときに、必ず不動産仲介屋で宅建士の資格を持つ人が、口頭で説明した上で渡される書類があります。これが「重要事項説明書」です。

その 「重要事項説明書」 に物件の耐震性が記載されているんです。

例として私が住んでいる賃貸マンション(1985年築)の重要事項説明書を掲載します。

我が家(賃貸マンション)の重要事項説明書

赤で囲ったところが耐震に関する部分です。新耐震基準であることが書かれていますね。

注意すべきポイント① 築年数だけで判断すると危険! 築1981年以降でも旧耐震基準のケースも

「自分が住むマンションは築1982年だから新耐震基準で安心だ」

これ、間違っているかもしれません。

築が1981年以降でも、旧耐震基準で建てられていることがあります。

なぜなら審査機関が建物の耐震性をチェックする「建築確認」は建てる前に行われるからです。

例えば次のようなケースです。

1981年5月31日  建築確認申請が許可される(建築の許可が出る)
1982年     建物が完成する

新耐震基準がスタートしたのは1981年6月1日からなので、5月31日までに申請された建築確認申請は旧耐震基準でチェックされます。

そして建築を開始してから完成するまでに、戸建てで「3~4か月」、マンションは「階数+3~4ヶ月」かかるといわれています。

たとえば8階建てのマンションだと、8+3~4ヶ月=約1年かかります。

引用元:家選びネット 新築一戸建ての建築期間はどれくらい?流れや大切にしたいポイント

https://www.ie-erabi.net/contents/356586/

引用元:goo住宅・不動産 マンションは1階作るのに1カ月かかる

https://house.goo.ne.jp/useful/knowledge/M00297.html

そのため築年数だけで判断すると間違えるかもしれません。

注意すべきポイント② 旧耐震基準でも耐震性が高い場合がある 耐震診断結果や耐震工事の有無をチェックしよう

逆に物件が旧耐震基準でも、耐震性が高い場合があります。

耐震診断が行われて診断結果が「is値が0.6以上」なら新耐震基準レベルの耐震性があります。

診断結果の見方は次のとおりです。(マンション・共同住宅の場合)

震度6~7の地震が発生した場合に
 「Is値が0.3未満」    :倒壊、又は崩壊する危険性が高い
 「Is値が0.3以上0.6未満」:倒壊、又は崩壊する危険性がある
 「Is値が0.6以上」    :倒壊、又は崩壊する危険性が低い

引用元:一般財団法人 日本建築防災協会 マンション(共同住宅)耐震診断・改修Q&A

マンション(共同住宅)

物件が旧耐震基準で建てられていてもIs値が0.6以上あったり、耐震工事を行って0.6以上にできていれば、ひとまず安心といえるでしょう。

耐震性が低かった場合の対処法

自分の住んでいる家の耐震性が低かったら、持ち家で住み続けたいなら耐震工事、賃貸なら引越しをおススメします。

でも耐震工事も引っ越しもお金がかかるし、すぐにはできないもの。

それにマンションが耐震工事をするには集会の決議が必要です。

このように耐震工事や引っ越しはすぐしたくてもできない地震対策です。できるだけ早めに準備しながら、並行してすぐできる防災対策を進めてください。

たとえば家具の転倒防止や食料の備蓄はすぐに始められる対策です。

地震で家が倒壊しなくても、今度は転倒した家具の下敷きになったりすると大変です。

新耐震基準や耐震性の過信は禁物。でも無いよりあった方が絶対いい。

残念ですが、家が新耐震基準や耐震性がIs0.6以上なら絶対に大丈夫というわけではありません。

2016年の熊本地震では、震度7の揺れが4月14日と16日に立て続けに発生しました。

耐震基準では、これだけ短期間に震度7が連続して発生することは想定されていません。

震度7を2回観測した益城町では、2000年以降に建てられた住宅でも全壊したものがありました。

でも、だからといって耐震基準を「意味がないもの」だと軽く見てはいけないと思います。

これまでにご紹介したように、新耐震基準や耐震性が高い建物の方が被害が少ないのは明らかだからです。

自分や家族の身を守るために、まずできることから始めていきましょう。

まとめ まず新耐震基準(Is0.6以上)の家に住もう

  • 自分の住んでいる家の耐震性をチェックしよう
  • 賃貸住宅の場合は、「重要事項説明書」を確認しよう
  • 新耐震基準や耐震診断結果がIs0.6以上ならとりあえず安心
  • 耐震性に不安がある場合は、できるだけ引っ越したり耐震工事を
  • どうしても対策できない事情がある場合は、同居家族と同意・覚悟の上で住む
  • 並行して優先度が高くてすぐできる他の防災対策も進める(家具の転倒防止など)

読んでいただきありがとうございました。